雲よ
雲がゆく
おれもゆく
アジアのうちにどこか
さびしくてにぎやかで
馬車も食堂も
景色も泥くさいが
ゆったりとしたところはないか
どっしりした男が
五六人
おおきな手をひろげて
話しをする
そんなところはないか
雲よ
むろんおれは貧乏だが
いいじゃないか つれてゆけよ
-谷川 雁 詩集(国文社版)-
・・・光とは、なんとおそいものであろう。そして自分の「詩」を葬るためにはまたしても一冊の詩集が必要なのだ。人々は今日かぎり詩人でなくなったひとりの男を忘れることができる。
1960年1月6日-谷川 雁(あとがき)-
言語空間の営みにおける深い挫折感と思想の敗北。そして、そのように彼は忘れ去られた。
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